カツオ廃棄される

サザエさんでボツになった脚本として有名なのものに、「タラちゃん巨大化」というものがあるという。
詳しい内容は不明だが、たぶんタラオが巨大化するのだろう。
全自動タマゴ割り機に比べるとそれほど恐くなさそうだ。
放送されたものの方が、放送されたという事実がそれをより忌まわしいものにしている。
ともかくとして、それのほかにもいくつか未発表の脚本があることがわかった。
そのうちのひとつが「カツオ廃棄される」というものである。
これは次のような内容だ。
カツオが波平の財布から130円を盗り、波平からその場で勘当を言い渡され、家をものすごい勢いで追い出される。ものすごい勢いで車のトランクにぶち込まれ、波平の運転で3時間ほどかけてどこかの街の外れまでいく。カツオは知らないが、戦場ヶ原と呼ばれるゴミの山だ。投げ捨てられる。車は走り去る。
カツオは途方にくれる。130円だけを手に、もっと盗っておけばよかったと思いながら中心街から少し離れた街まではたどりつくも、あてもなくさまよう。不気味なほど人気(ひとけ)がない。
しばらくして腹が減り、コンビニで121円のソイジョイを買って食べた。
ナカジマに電話するか、と思ったが9円しかないので公衆電話は使えないし携帯もない。サザエさんの世界では簡単に携帯電話を所持することはできないのだ。
しかたなく、自販機の釣銭をあさってみるカツオ、しかし1円も見つからない。
だんだん落ち着いてきて、警察はどこかとコンビニで店員に話しかけようとした。そのとき、突然コンビニ強盗が入ってきた。
コンビニ強盗は入り口にいた老人に銃を突きつけて人質にとり、店員に金を要求する。
カツオはコンビニの袋と9円しか持っていない。しかし……カツオはもはや自暴自棄になっていたのだ、ここでもし死んでもまあいいんじゃない。その9円の入ったビニール袋、ブラックジャックと呼ばれる武器で強盗の銃を持つ手の甲をカチ割った!
銃を取り落とし浮き足立った強盗、店員とカツオに取り押さえられる。
老人「き、キミは命の恩人じゃ……」
ひたすら感謝し、さらにカツオの身の上話を聞いたその老外国人はカツオをカリフォルニアの彼の家に招待し、カツオはその老夫婦の家で暮らすことになる。そして1年後、カツオは正式に養子になった。
カツオ・ノーエボッシュと改名したカツオはその家で巨大クラゲのように幸せに暮らした。