「怪物王子」

甲子園の決勝戦完全試合をなしとげた風鈴館高校野球部は「怪物軍団」と呼ばれた。そこのキャプテンにして正捕手・油谷繁夫のリードはエースの投手以上に評判になり(相手の三番打者を全打席内野ゴロにうちとった)、彼は怪物王子と呼ばれるようになった。だが本当のところはその試合が怪物の由来ではなく、油谷の運営するウェブサイト「怪物インドエックス」こそが怪物王子の由来であるのだが、たいていのマスコミでは最近ではこれをいちいち説明していない。「怪物インドエックス」は約43万種類のモンスターの解説が書かれたサイトだ。サイトの内容について一例を挙げると、150003番目のモンスターは「アロエロロエロアルエロ」という、風呂に浮いている毛が排水溝に流れたのを見た人間が夜に寝ているとき右のわきの下がムズムズ痒くなってきたときその人間の頭についたバクテリアを主食とするモンスターで、これは20393番目のモンスター「アロエロロエロアルエル」と同じフロケミギバクテリアソワロ類に分類されている。これらの妖怪は彼の書いた「パンデモニウムデーモン生成プログラム」というコンピュータプログラムによって半自動生成されているという。