観測問題

一匹見えたら三十匹はいる。
ので、一匹を見るごとに別の二十九匹の存在が確定する。
二十九匹はどこからきたのかというと、そこにいたからそこにいるのだ。
当然、二匹見たらあと五十八匹がそこにいることが確定する。
これにより、もし二十九匹を見たらさらに八百四十一匹がそこらへんにいる。
ただし、確定的に見ない限りは三十匹ではないという。
これが既知宇宙にのこる人類最大の問題である『G-problem』だ。
人類が見ることにより上記のように数が増え、増殖分はその時点では見えずそこらへんにいる。
人類がいわゆる超世界の目のような確かな視力を持っていないことが幸いして、現在のところあまり見られていない。だが爆発的に増殖していることが確実視される程度には見られている。もし増える一方だとしたら、宇宙は埋め尽くされてしまうのではないか?
「目力(めぢから)トレーニング」と呼ばれる超能力開発がこのG-problemの脅威を呼び出すおそれがあるとして懸念されている。
「超世界の目で見て増えたとしてもとしても問題ないくらいこの宇宙は広い」とする派と「いや人類は滅びる」派の二つの激突に論議が集まっている。