ガンガンJokerの「皇帝の花嫁」打ち切り

皇帝の花嫁 (ガンガンコミックスJOKER)

皇帝の花嫁 (ガンガンコミックスJOKER)

超ネタバレ:
萌えファンタジーカイジ、みたいな印象のマンガ。
心底面白いと思っていた。
面白かったのにひどい打ち切りといった終わり方で、単行本を買うべきでないマンガを集めているマニアは買うべき。
しかし最悪な終わり方というほどひどくはない。
雑誌に掲載された最終話は、選抜試験の予選第一試験だか第二試験だかのあたりで、いわゆる超規模の○×(マルバツ)クイズのクライマックスだった。途中でいきなり「三ヵ月後」になって女主人公が優勝しましたといって第三試験だか以降は省かれてかつてのライバルや味方のキャラと一緒にハッピーエンド、となっていた。
その最終話のマルバツクイズの最後の問題は「親と兄弟では兄弟のほうが大切だ(うろおぼえ)」のようなもの。
これに「パーフェクトな解答を繰り出す能力を持ち、そのマルバツクイズ内では自分自身とその他大勢の候補をなぜか自分の出すその(マルバツの)正解へ導いているライバルキャラ」は「○も×も正しくない、選択拒否が正解」と言って○ゾーンと×ゾーンのどちらにも入らず時間切れまで待つことを選ぶ。しかし女主人公は○(いやどっちだかうろおぼえ)を選び「私はそう思うんだもの」とか言う。
ライバルキャラとそれに導かれる大多数は選択拒否ゾーンに残り、女主人公の選んだゾーンのほうには彼女と何人かのいわゆる仲間キャラだけとなった。
そしてそこでページをめくると「三ヵ月後」。
マルバツの正解がなんなのかもないし一切それへの言及もないのかよ、と最初見たときは思った。解答は直接的には確かに書かれていない。
が、一応繋がっている。なんで正解をいわないんだよふざけるなとつっこんだ24時間後くらいにたまたま思い出せば気づける。
その後勝ち抜いたらしく「三ヵ月後」に優勝した女主人公は、ほとんど無限に正しい法律(「反逆者は焼け死ぬ」とその石版に書かれると反逆した瞬間に超自然的な力で自動的に燃えて死ぬ)を決める権利をともなう皇帝との結婚をお断りする。
もうしわけ程度に登場した「皇帝」に対して女主人公は「みんながなんでも自由に決められる世界にしたいとあなた(皇帝)も思っているんでしょう?」などと(肝心なところなのにうろおぼえで申し訳ない)いっている。皇帝は落涙し、法律の石版は壊れる。
これは、マルバツのどちらも選ばなかったライバルと、何かしらを選んだ女主人公に繋がっている。
何かしら考えることや考えて選ぶこと、決断しないよりは何か決断するところでは決断すべきという、例の「決断主義」だ。
決断主義がどうなのかはともかく、皇帝の花嫁の試験で決断主義を重視していた、というのはなかなか普通に面白いんじゃないか。
少なくとも、なんの決着もつかない終わりかたと比べると意外ときれいに終わっている。