2010年に読んだ中で一番面白かったのは

一番面白かったのは田中を除くと

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

なぜハッピーなエンドにしてくれなかった、とマジ泣きした。
ト書きでは登場人物の心情を書かず、映画や演劇もしくはマンガを見ているような書かれ方なので二人の主人公コンビのどちらにより感情移入するかが人によって違うかもしれない。私はもちろん愚鈍な方に、なった。

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閉じた本 (創元推理文庫)

閉じた本 (創元推理文庫)

ほぼ全てが二人の人物の会話のみという形が面白い。片方は盲目の作家。カタワジョークを頻発する盲目者はユーモラスに書かれるがしかし徐々に不穏な出来事が起こり始める。目が見えないので何がおきているのかがわからない不安のなか、読者ももちろん絵を見れず、そのうえ声しか聞こえない。

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創世の島

創世の島

最後の約2ページの部分での衝撃によって傑作だと確定したようだ。作者はそのラストの驚きとそれへの伏線の張りかたも重視していただろうけど、途中の議論の面白さがあればこそでその中盤の議論部分こそが本体のはず。私は、思考に関するこういう話を読んでいると、自分自身はほとんどゾンビなんじゃないかと思う。