Review of four hundred twenty

究極のCRPG(コンピュータ・ロール・プレイング・ゲーム)があるとすれば、それは一つだけだとは限らなくていいはずだ。
「GenRogue」、「妖精物語」、「Incursion」、「ドラゴン・レッド」そして「戦慄のリヴァイアス」。
これら5つは「最高のCRPG」だと断言する。
読者諸氏もこれら5つのタイトルは良くご存知だろうし、実際プレイされていることだろうから今さら内容についての説明は要らないだろう。
これら5つに共通することは、それらのサイトからは、製作者達の深いコンピュータ・ゲームへの造詣が感じられ、既存のゲームへのリスペクトとダウトをもって非常に洗練されたゲームシステムを作っていることがうかがい知れる、という点だ。
これら5つのゲームの開発メモ群からは、トリビアルな小技的システムからマクロなゲームの根幹の要素までが、これでもかと、視覚を通して強烈に脳髄に叩きつけられる。単なるTipsからゲームの攻略本まで含めた「ゲームに関する読み物」としては、最高の文章群たりえているのである。面白いゲームをプレイしているときに、そのゲームの内容について、またはプレイしたシステムがいかに面白いかを単に書き付けるといったことをする匿名掲示板的文化が、サイトを読むだけで実現できてしまうのだ。
「本当にどうでもいい」、「アホね」そして「〜って何だよ、そういうのはお前の脳内で勘弁」といった、つまらないものをつまらないと切り捨てることに対しての防御も重要な点だろう。多くを語り、また或る点については本当に少しの情報しか出さない、その「情報のインセイン・フィルド」とも言うべきサイト運営もこれらのゲームでは共通しており、究極的な理論武装とでもいったものが完成しているのだ。
読者諸氏に於かれてはこれらのサイトはモニタに五寸釘を打ち込むほど読み込まれていると思うので、共通点についての簡単なレビューにとどめておく。
「GenRogue」、「妖精物語」そして「戦慄のリヴァイアス」では、作者がゲームのグループスで、とにかく作者自身が非常に多くのゲームをプレイしてきた、その古き良きゲーム歴とゲーム内容について恐ろしく多弁で、それらを自作にも取り入れた、と書き、書き、書いている。「情報量の多さ」がゲームの面白さに直結するのは皆ご存知の通りだが、信じ難い量の「スキル」を扱ったスキルシステムや、プレイしてきたゲームでの優れた点は、とにかく「全部」取り入れてしまおうという、物量作戦だがもちろん質も重視するよ、なる心意気は非常に熱いものがある。
そして史上最高のローグライクである「Incursion」のサイトと、超有名オンラインRPG「ドラゴン・レッド」のサイト。これらのサイトは、ユーザにもシナリオやモンスターやアイテムの「制作」に関わってもらおうという、ユーザの参加がメインになった作りになっている。「Incursion」のアイテム記述法ノートや「ドラゴン・レッド」のモンスタージェネレータ&モンスター/アイテム登録システムは、まさにオープン・フリー・ゲームの集大成とでも言うべきものだろう。
心配事があるとすれば、これら5つのプロジェクトが、時間の流れで、「より完成された」ものに近づいていってしまわないか、ということだ。完成しない、というのは、不完全だからこそ面白い、という意味もあるが、実際“完成”はプロジェクトの“終わり”であるように聞こえるのである。
とにかく、なんにせよ、そんな中で、もういちど、これら5つは現在有るフリーソフトでは「最高のCRPG」だと断言する。