昼飯

痰(たん)ツボというのがある。水泳プールや駅の、スミのスミに置いてあったりする、タンを吐きいれるためのツボである。まあそのくらいは皆さんご存知のことだろう。だが、「痰ツボおじさん」はどうだろうか。これは一種の悪夢的な都市伝説で、よれよれのシャツを着たヒゲを伸ばした汚い中年が駅に現れ、痰ツボをおもむろに持ち上げ、コンビニでもらえるようなストローをおもむろに差し込む。そして、吸う。ジュルジュルジュルジュル。耳クソを食ったことがあるか? 推測するに、そういうのの、遠い遠い延長線上にある、というか行き着くところまで行ってしまった究極のスカトロの1つが、そのおじさんなのだろう。確かに単なる「都市伝説」で終わる話かもしれないが、駅で性器をしゃぶっているホモカップルが実際目撃されていること等から考えると、完全に作り話だと決め付けられないのがさらに恐ろしい。
さて、ある屋内水泳プールのスミにも痰ツボが、まあおそらくプールの水中や人が歩くプールサイドに吐かれるよりはと、設置してある。これは上から見るとファンシーな星型をしている。一見すると痰ツボだとわからない工夫なのだろう。しかし、それに自分が吐き入れているとき、やはりその中にフルに充填されたタンを想像してしまい、当然同時に常にそのおじさんのハナシを思い出してしまい、その狂気の想像による寒気を禁じえない。
その恐怖がフル充填された星型の痰ツボが、いわゆる「タンスターフル」である。