ニャンテレ

先日の異端的猫科動物研究機関「ロケッティア・トータル・フェリン・ラボラトリ」の発表によると、地球上のあらゆる猫はテレパシーを持っていて猫どうしで互いに通信しあっているということがわかってきているという。しかし「人間が機械で受信する」にはまだ難がある。
これは、先月、反動物愛護団体「ファクトリー・アンビリーバブル・キャッツ・キッキングス」の発表した、猫に限らず全ての「動物の脳」はその種に固有の波長の5キロメートル先まで届く亜空間通信ノイズを発生させているという説に協賛するものである。
RTFLによると、家猫はその亜空間ノイズを「受信」する能力が全生物中でも特に高いとわかったというのだ。
だが、発表によると、この「ノイズ」が実際の機器によって観測されたというわけではない。
裏づけは二匹の猫を使った実験でなされたという。完全防音防臭の部屋に一匹目を閉じ込めて、中の猫に電気ショックを与えたとき外の猫の脳波を測定すると、電気ショックの瞬間「ビリッとしたのを見た」のに近い脳波が測定された。電気ショックの強さによって反応が「ちょっとビリッとしたのを見た」「わりとビリッとしたのを見た」「ビリッとして死んでしまったのを見た」と変化したというのだ。
猫がノイズを受信できるということの裏づけは、ネズミの脳から、魚の脳から、また人間の脳から出ている(という説の)ノイズをも受信しているという実験結果によってもなされている。種によって波長がものすごく違うので、受信能力のある猫にも異種族である人間のノイズは本当にかすかにしか「聴こえ」ず、たとえれば、猫が聴いている人間のノイズは人間にとって見れば人間が雑踏の中(つまり地球は動物密度的問題により亜空間ノイズで埋め尽くされているので)で他の誰かが「すかしっ屁」をしたのを感じ取るのと同じようなものだそうだ(しかしこのたとえは猫が5キロ離れた猫からも受信しているという話とはどうにもズレており、「肛門期かよ」と研究者がネットで批判されている)。
また、既に猫が聴き取れる波長の亜空間ノイズを発生させる機械というのも開発されていた。
簡単にその機械「ニャンニャン・テレパシー・トランソマティック(NTT)」を説明する。その機械をAC100につないでスイッチを押すと電磁波ノイズとともに亜空間ノイズも発生され、このノイズは人類が現在三丁目の田中さん以外の制作によるどんな機械を持ってしても、電磁波ノイズとしか観測されない。が、NTTを動かすと、猫は一目散に逃げていく。そしてそのノイズの電磁波部分のみと同じものを他の機械で発生させても猫は全く動かず、つまりNTTが猫へなんらかの「送信」を実行しているという証拠だといえるのだそうだ。
また別の噂では、NTTはソニーの開発したゲーム機にも含まれており(定価のうちの1/5はその電子機器の値段だという説もある)、「ネコ・エンガチョ・リセット・フセギ」システムとして大々的にゲーム機のウリにしようと目論まれていたが、発表直前になって政府からの圧力で機器の公表が取り消されたそうだ。よってゲーム機が不思議とネコリセットされないわけだ。
本題に戻ると、その時点で問題なのは、受信が不可能だということにある。
NTTは確かに「何か」を送信しているが、猫本人(猫本猫)にしかわからないのである。
そこで今某国で極秘に研究されている機械の話になる。
ノイズが猫の有機脳でしか受信できないのなら猫の有機脳を機械に組み込めばいい、というのがその機械の簡単な原理説明だ。
その受信機械・通称「猫ラジオ」は猫の有機脳とそれを活性化させるネズミの脳、また猫の脳をより家猫に近づけるための飼い主ノイズ用の人間の脳を使っているといわれている。
有機脳を機械で有効につかえるのは、生体から脳を取り出してから大体3分程度だそうだ。そしていまのところ受信量増幅のため、猫12匹分、ネズミ12匹分、魚12匹分、人間24人分が、猫ラジオを一回作動させるのに必要とされる。脳を取り出された体は犬のえさとして有効活用されている。
この「猫ラジオ」開発チームは「我々は全ての愛猫家の夢を実現しようと努力している」とコメントしている。
これに対し現在、動物愛護団体のほとんどが「今まで22回行われてきたという猫ラジオ開発の実験だが、人間やネズミはともかくとして、猫を犬のえさにするのはどうだろうか」と多少反発している。