「ローリング・キャベツ」

転がって移動する巨大なキャベツ。「巨大植物ウィルス」――ある科学者がつくりだしたたウィルスで、植物の肥大的な成長を促進する改変効果をもつ――によりつくられた巨大トマト(直径五メートル)や巨大ホウレンソウ(十二畳の葉っぱ)などほとんどの野菜はどうしても味がマズすぎたため多く生産されなかったが、キャベツは例外だった。この大量生産された美味しい巨大キャベツの畑に、あるときイタズラがなされた。「エントスパームウィルス」――植物の葉に無数のうごめく鞭毛を生やすウィルス――が感染すると、やがてそのキャベツたちは転がって移動したり転がりながら根を苗として地面に植え付け増殖するたのしい生き物になった。オーストラリアではキャベツ狩りは紳士のスポーツとして人気である。