「空気和尚」

空気(クウグィ)和尚は死を超越した存在だ。彼は一度落ちた社会的地位がついに永遠に回復しない例として頻繁に挙げられている。彼は通常赦されない涜神的方法により死なないことになっている。たとえば、やんごとなきロイヤルな血族が社会的地位「100」だとすると、カサブタに覆われた冒涜的な珍走団で人殺しのゴミ漁りの両生類の下痢に匹敵する子鬼蛮族のゾンビが「1」だとなる。その、通常の存在(ビーイング)では1にまでしか下降しないはずの数値が、空気和尚においてはありうべからざる「0(ゼロ)」なのだと信じられているのだ。彼の社会的地位は永遠に地に落ちたあとさらに穴に落ちていきその下に地獄の地にも落ちつづけている、そのようなゼロだ。しかし、誰であろうと永遠に地に落ちるハメになる可能性はあることを忘れてはならない。たとえば、かの特にひどい行為をしたわけでもないモーツ・ゲバッガは最期まで、自分が地に落ちたことを悩み続けたことだろう。なんということもない普通の人間でも、大したミスでもないことで地に落ちる確率はわりと高いのだ。客観的に見ると死んで個人自体が存在しなくなることで、地に落ちていることも意味がうすれる(彼あるいは彼女自身はもはや悩まないので)が、死をなかったことにすると決断した空気和尚は、永遠に生きて地に落ち続けていて、それは「死なないのも考えものだ」というフレーズに集約される。これが「地位飛ォぶ死怨(ちいとおふしおん)」といわれるものだ。