「オースギット」

彼は双子のうちの2/3である。オースギットを除いた1/3人である「P子」は不完全であった。五体満足ではなかった。オースギットは「2と2/3本」の腕を持っていたが、Pの存在をまったく知らされずに育てられた。オースギットはある日偶然友人に誘われて行ったシルク・ド・オメガーヴというサーカスの興行で「身のよだつ酔った創造者の失敗作」が見世物になっているのを見た。それは「1と1/3本」の腕を持っていた。オースギットはそれが何者かを悟ると自分の腕が引きちぎられるように感じたという。もちろん感動の再会ではないし、Pは脳も不完全だったし、サーカスは一週後にそこから次の場所へと旅立ってしまった。