電撃文庫の感想を書く男

短編のうち一つで、主人公が「あなた」で、そのキャラ「あなた」の性別がどちらでもいいように全てが書描かれている(しかし男女のどちらか片方なのは確か)。ついでに言えば名前も出てこない。ゲーム的。よくそんなことができるなと感心するが、そんなことしていいのか。
追記:
この実験中でとくに変で面白いのは姉御肌キャラにからかうような冗談を言われるシーン。だがどっちにしろそのキャラが言いそうな軽い冗談なので性癖への疑い(?)が出ているわけではない。
プレイヤーが確定した上で選べた結果がきちんと表示したりできるぶん、ゲームのほうがリアルだし物語としては正しいな……と思っていたわけだが、実はこっちの小説でしかできなくて興味深いところもある。一回読んでいる最中に二つの世界を「同時に」感じられることだ。さらに、これは普通の「あなた」小説でも有ることだが、読者は主人公の「あなた」が読者のあなたとほとんど同じような人間か、またあなた自身ではないがあなたと呼ばれる誰か異なった性質の人間(つまりあなた自身ではなくひとつのキャラクター)かという面でも、違った世界になる。同時に。性別と、あなた自身かキャラクターかの違い、2の2乗で4通りの世界が同時に感じられる。感じようと思えば。すごいトリックだ。ゲームではなかなかできない。